農家や食品メーカーが直販サイトを作るとき、食品表示基準がどこまで適用されるのかを消費者庁の資料で確認します。容器包装への表示義務と、ECサイトで提供したい期限・アレルゲン・原産地・保存方法の情報、「無農薬」など注意したい表現を整理します。

この記事の監修者

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H.Yamashita

新卒で三井住友銀行に入行後、11年間幅広い業種業界・企業規模の法人を担当し、融資業務を中心としたコンサルタント業務に従事。子会社の信託銀行では、専務直属の新規事業企画室にて新規企画推進を担当。

銀行員キャリアのラストは本店営業部にて従事し、不動産・建設業界の上場企業を担当。


その後、WEBマーケティングに強みを有するスタートアップ企業に転職し、企業のあらゆるお悩みや課題を解決し、貢献したいという想いからコンサルタントとして独立、起業。

セールスライティング、WEBマーケティング、SEO、MEO、SNS、広報、WEBサイト制作など、財務や経営管理以外にも幅広い実績を有するオールラウンドな経歴を持つため、一気通貫であらゆるお悩みや課題の解決に貢献できる。

二人三脚スタイルの伴走型支援で当事者意識を持って高い熱量でサポートすることが強みであり特徴。クライアント数は140社超える。


直販サイトの商品ページは、容器包装の代わりに読まれます

農家や食品メーカーが自社の直販サイトを持つと、市場や小売店を通さずにお客様へ商品を届けられます。一方で、お客様は届くまで商品を手に取れません。店頭なら裏面の表示を見て確かめられることも、ネットでは商品ページの情報だけが頼りになります。

特に食品は、アレルギーや保存方法、期限など、健康や安全に関わる情報が多い商品です。直販サイトを作るときは、写真やこだわりの文章と同じくらい、表示情報をどう載せるかを最初に設計しておくことが大切です。

食品表示基準は「容器包装への表示」が対象

食品の表示ルールの中心は、食品表示法(平成25年法律第70号)にもとづく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)です。

消費者庁が令和4年6月に公表した「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」では、食品表示基準は食品の容器包装への表示を適用範囲としており、ECサイトにおける食品表示情報の掲載は適用範囲外であると説明されています。

ただし、これは「ネットで売るなら表示はいらない」という意味ではありません。消費者庁の食品表示基準Q&A(令和7年3月28日改正版)では、カタログやインターネットを利用した通信販売などで届けられる食品であっても、容器包装に消費期限又は賞味期限等の義務表示事項を表示する必要があるとしています。そのうえで、事業者の自主的な取組として、購入画面等でこれらの情報を積極的に提供することが望ましいとしています。

また、Q&Aでは、玄米及び精米について、通信販売するものであっても容器包装に入れて消費者に販売する場合には表示が必要であり、生産者も含めて消費者に販売する方は全ての小売販売業者と位置づけられると示されています。農家の直販でも、届ける商品そのものの表示は欠かせません。

商品ページに載せたい表示の項目

食品表示基準第3条では、容器包装に入れられた一般用加工食品を販売する際の表示事項として、名称、保存の方法、消費期限又は賞味期限、原材料名、添加物、内容量又は固形量及び内容総量、栄養成分の量及び熱量、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所、製造所又は加工所の所在地などを定めています。特定原材料を含む場合はアレルゲンの表示も必要です。

野菜や果物などの生鮮食品は、同基準第18条で、名称と原産地の表示が定められています。農産物の原産地は、国産品は都道府県名、輸入品は原産国名を表示し、国産品は市町村名その他一般に知られている地名で代えることができます。

ガイドブックでは、ECサイトでも、容器包装上に記載している表示事項は、できる限り食品表示基準に準じた表示方法で掲載することを基本方針の一つに挙げています。商品ページのテンプレートを作るときは、こうした項目を入れる欄をあらかじめ用意しておくと、商品を追加するたびに迷わずに済みます。

期限情報は「期限残」で伝える方法がある

ネット販売で最も扱いにくいのが、消費期限・賞味期限です。注文から配送までに時間差があり、複数の製造ロットが混ざることもあるため、商品ページに具体的な年月日を載せるのは難しい場合が多くなります。

ガイドブックでは、期限情報の提供方法として次のような例を挙げ、期限残の表示を望ましい方法としています。
 ・期限残表示:「賞味期限まで到着日から〇日以上お日もちするものをお届け」
 ・期間表示:「賞味期限:製造日から〇日」
 ・サイト上に期限情報に関する方針を掲載:「当社が定めた日数以上の期限残の商品に限り出荷しています」など

農家の直販では、収穫日や発送日を伝えたうえで、到着後の保存方法とおいしく食べられる目安を添えると、お客様が受け取った後に困りません。

アレルゲン情報は目立つ位置に分けて載せる

食品表示基準の別表第十四では、表示が義務づけられる特定原材料として、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生が定められています。消費者庁のページでは、令和8年4月1日にカシューナッツを特定原材料として追加したことが示されています。

ガイドブックでは、食物アレルギー情報は消費者の安全に直接関わる重要な情報であり、問い合わせも多いとして、目立つ文字での記載、独立したアレルゲン事項欄の作成、一覧化表示、イラスト表示などの工夫が挙げられています。原材料名の中に埋もれさせず、商品ページの上の方に独立した欄を設ける設計がおすすめです。

同じ工場や作業場で扱う原材料について注意を伝えたい場合も、容器包装の表示と内容をそろえることが大切です。

監修者からのポイント

食品の直販サイトは、商品が増えるほど表示情報の管理が重くなります。最初に商品ページの型と表示データの置き場所を決めておくと、運用が長続きします。

エクシードでは、業種別のホームページ制作をご支援しています。商品ページの表示欄の設計から、生産者紹介やご利用ガイドまで含めた直販サイトの構成をご提案します。農家や食品メーカーで直販サイトの新規制作やリニューアルを検討されている方は、お気軽にご相談ください。

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保存方法、産地、サイズも「届く前に分かる」ように

ガイドブックでは、商品を直接手に取れないネット販売で丁寧な情報提供が必要な項目として、保存方法と寸法(商品サイズ)が挙げられています。

保存方法:「冷凍」「冷蔵」「常温」をマークやイラストで掲載し、商品一覧ページにもアイコンを表示する
産地情報:季節などによって産地が変わる場合は、複数を併記する
寸法や総重量:冷蔵庫や冷凍庫に入るか、宅配ボックスに入るかを判断できるようにする

商品サイズは現行の食品表示のルールでは義務表示の対象外とされていますが、ガイドブックでは「想像より小さい商品が届いた」「冷蔵庫・冷凍庫に収納できるかわからない」といった消費者の困りごとが紹介されています。

また、容器包装の表示が変わったのにサイトの情報が更新されていない場合に備えて、ガイドブックでは、お手元に届いた商品の容器包装の表示を必ず確認してもらうよう促す注意文を入れることが勧められています。

「無農薬」「有機」など、使える言葉に決まりがある

農産物の直販サイトでは、栽培方法のこだわりを伝えたくなります。ただし、使える言葉には決まりがあります。

農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(平成19年3月23日改正)では、「無農薬栽培農産物」「無化学肥料栽培農産物」「減農薬栽培農産物」「減化学肥料栽培農産物」等の表示を、表示禁止事項としています。農林水産省の解説資料では、「無農薬」表示は消費者が一切の残留農薬等を含まないとの間違ったイメージを抱きやすく優良誤認を招くこと、「減農薬」表示は削減の比較基準や対象が不明確であることが理由として示されています。ガイドラインに沿う場合は、「節減対象農薬:栽培期間中不使用」のような表示例が示されています。

また、農林水産省のページでは、有機JASマークがない農産物、畜産物、加工食品に「有機」「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されていると説明されています。サイトの文章や商品名にこれらの言葉を使う場合は、認証の有無を確認してください。

産地や使用割合などを自主的に詳しく伝えることについて、食品表示基準Q&Aでは望ましいとしたうえで、自主的な表示であっても景品表示法等に抵触する事実があれば指導・罰則などの対象となるとしています。こだわりの説明は、事実にもとづいて書くことが前提です。

直販サイトの構成例

直販サイトは、商品ページだけでなく、生産者や作り手を伝えるページと、購入前の疑問に答えるページを組み合わせると、初めてのお客様にも選ばれやすくなります。

 ・トップページ:旬の商品、発送時期、送料や配送方法の概要
 ・商品ページ:写真、表示情報の欄、保存方法アイコン、期限の考え方、サイズ
 ・生産者・作り手紹介:畑や工場の様子、栽培や製造の考え方
 ・ご利用ガイド:注文から到着までの流れ、配送できない地域、不在時の扱い
 ・よくある質問:保存方法、到着後の不具合への対応、ギフト対応
 ・特定商取引法に基づく表記:販売事業者の情報、返品の条件など

通信販売を行う場合は、特定商取引法にもとづく表示も必要です。項目や書き方は、別の記事で詳しく解説しています。

よくある失敗

・商品ページに原材料やアレルゲンの欄がなく、写真と説明文だけになっている
・容器包装の表示を変えたのに、サイトの情報を更新していない
・期限について何も書かれておらず、到着後いつまで食べられるか分からない
・冷凍・冷蔵の区別が商品一覧で分からない
・「無農薬」「オーガニック」などの言葉を、要件を確認せずに使っている

本記事の内容は、執筆時点で確認した食品表示基準、消費者庁のガイドブックとQ&A、農林水産省の公表資料にもとづいています。表示のルールは改正されることがあるため、最新の情報は消費者庁や農林水産省の公表資料でご確認ください。個別の商品の表示が適切かどうかは、都道府県の食品表示の担当窓口や専門家へご相談ください。

まとめ  

農家・食品メーカーの直販サイト制作で押さえたいポイントは次の通りです。


 ✓食品表示基準は容器包装への表示が対象で、ネット販売でも届ける商品の容器包装には表示が必要

 ✓ECサイトでも、容器包装の表示事項をできる限り食品表示基準に準じて載せることが望ましいとされている

 ✓期限は期限残で、アレルゲンは独立した欄で、保存方法はアイコンで分かりやすく伝える

 ✓「無農薬」「減農薬」は表示禁止事項とされ、「有機」は有機JASの認証が前提になる

 ✓容器包装の表示が変わったときにサイトも直す運用を決めておく


商品の魅力を伝える前に、安心して買える情報がそろっていることが、直販サイトでリピートにつながる土台になります。

編集部コメント

アレルゲンの対象品目は見直されることがあります。消費者庁の食物アレルギー表示のページを定期的に確認し、商品ページの表示欄も合わせて更新してください。

この記事の編集者

スタジオ15_800px_R

C.Ogawara

大手食品メーカーにて約1年半、商品開発および営業業務に従事。市場ニーズを踏まえた企画提案や顧客対応を通じて、顧客視点を重視した課題解決力を培う。


その後、WEBディレクター兼SEOコンサルタントとして2年目のキャリアを歩み、他の一流コンサルタントの厳しくも愛のある指導のもと日々奮闘中。

ホームぺージ制作やSEO対策業務に携わり、検索流入の改善やコンテンツ制作を支援。 キーワード選定、記事構成の作成、リライトなどを通じて、検索意図に沿ったコンテンツ設計と継続的な改善に取り組んでいる。 毎日キーワード分析を行い、これまで分析したサイト数は業種業界を問わず200サイトを超え、最新トレンドや業界別の特徴や差別化要素を提案できることが最大の強み。

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