不動産会社が自社ホームページに物件を載せるときは、不動産の表示に関する公正競争規約と宅建業法の広告ルールが関わります。インターネット広告の必要な表示事項、おとり広告にならないための更新管理、徒歩所要時間や特定用語の決まり、広告開始時期の制限を整理します。

この記事の監修者


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H.Yamashita

新卒で三井住友銀行に入行後、11年間幅広い業種業界・企業規模の法人を担当し、融資業務を中心としたコンサルタント業務に従事。子会社の信託銀行では、専務直属の新規事業企画室にて新規企画推進を担当。

銀行員キャリアのラストは本店営業部にて従事し、不動産・建設業界の上場企業を担当。


その後、WEBマーケティングに強みを有するスタートアップ企業に転職し、企業のあらゆるお悩みや課題を解決し、貢献したいという想いからコンサルタントとして独立、起業。

セールスライティング、WEBマーケティング、SEO、MEO、SNS、広報、WEBサイト制作など、財務や経営管理以外にも幅広い実績を有するオールラウンドな経歴を持つため、一気通貫であらゆるお悩みや課題の解決に貢献できる。

二人三脚スタイルの伴走型支援で当事者意識を持って高い熱量でサポートすることが強みであり特徴。クライアント数は140社超える。


自社ホームページの物件情報も「広告」として扱われます


不動産会社のホームページでは、会社案内や地域の情報に加えて、物件情報を掲載することが多くあります。ポータルサイトとは別に、自社サイトでも物件を検索できるようにしている会社も少なくありません。

このとき押さえておきたいのが、自社ホームページに載せる物件情報も、不動産の広告として同じルールがかかるという点です。

不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下、表示規約)は、規約でいう「表示」に「インターネットによる広告表示」を含めています。同連合会の「おとり広告ガイドライン」(2019年11月1日)でも、ホームページや不動産情報サイトに掲載するインターネット上の広告は表示規約にいう「表示」に当たると明記しています。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」でも、誇大広告等の規定(宅建業法第32条)の対象となる広告の媒体は、チラシや新聞、雑誌のほか、インターネットのホームページ等、種類を問わないとしています。

この記事では、自社サイトの物件ページを作るときに関わるルールに絞って整理します。


関わるルールは大きく3つあります

不動産会社のホームページの物件情報には、主に次のルールが関わります。
 ・宅地建物取引業法(宅建業法):誇大広告等の禁止(第32条)、広告の開始時期の制限(第33条)、取引態様の明示(第34条)
 ・不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則:景品表示法にもとづく業界の自主ルール。必要な表示事項、表示の基準、おとり広告の禁止などを細かく定めています
 ・景品表示法:不当表示の禁止。公正取引委員会の告示「不動産のおとり広告に関する表示」もあります

表示規約でいう「事業者」は、宅建業の免許を受けた事業者のうち、各地の不動産公正取引協議会の構成団体に所属する事業者と、規約に個別に参加する事業者です。ただし、おとり広告ガイドラインでは、公正取引委員会の告示「不動産のおとり広告に関する表示」は、協議会に加盟しているかどうかにかかわらず不動産事業者のすべてに原則として適用され、規定の書き方に若干の違いはあるものの内容は表示規約と同一だと説明しています。所属団体の有無にかかわらず、表示規約の考え方に沿って物件ページを作っておくのが実務的です。



インターネット広告で表示が必要な事項

表示規約第8条は、事業者が規則で定める表示媒体を使って物件を表示するときは、物件の種別ごとに、次の事項を見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字で、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならないとしています。

1.広告主に関する事項
2.物件の所在地、規模、形質その他の内容に関する事項
3.物件の価格その他の取引条件に関する事項
4.物件の交通その他の利便及び環境に関する事項
5.その他、規則で定める事項

施行規則では、表示媒体の一つとして「インターネット広告」を定めています。具体的な項目は、物件の種別ごとに別表1から別表10にまとめられています。たとえば別表9(中古賃貸マンション・貸家など、賃貸戸数が1戸のもの)では、インターネット広告で表示が必要な事項として、次のようなものが挙げられています。

  ・広告主の名称又は商号、事務所の所在地、電話番号、宅建業法による免許証番号
 ・広告主の所属団体名及び公正取引協議会加盟事業者である旨
 ・取引態様(貸主、代理、媒介(仲介)の別) 物件の所在地(町又は字の名称まで)、交通の利便
 ・建物の構造・階数・物件のある階、専有面積、建築年月
 ・入居可能時期 賃料、礼金等、敷金・保証金等(償却をする場合はその旨と額または割合)
 ・損害保険料等が必要な場合はその旨、家賃保証会社等との契約が条件の場合はその旨と額
 ・管理費又は共益費等、定期建物賃貸借である場合はその旨、契約期間

新築分譲住宅、中古マンション、売地など、物件の種別によって必要な事項は異なります。自社で扱う種別の別表を確認し、物件ページの入力項目にあらかじめ組み込んでおくと、掲載のたびに漏れを確認する手間が減ります。

なお、2022年9月1日施行の改正では、別表4から別表9のインターネット広告の必要な表示事項に、「引渡し可能年月(賃貸物件においては、入居可能時期)」と「取引条件の有効期限」(分譲物件のみ)が追加されています。古いテンプレートのまま運用している場合は、項目が足りていないことがあります。


おとり広告は「更新の遅れ」からも起こります


表示規約第21条は、次の広告を「おとり広告」として禁止しています。
1.物件が存在しないため、実際には取引することができない
2.物件に関する表示 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
3.物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

宅建業法の解釈・運用の考え方でも、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとする「おとり広告」や、実際には存在しない物件の「虚偽広告」にも、第32条の適用があるとしています。

おとり広告というと、わざと架空の物件を載せる行為を想像しがちです。しかし、おとり広告ガイドラインで協議会が措置した例として最初に挙げられているのは、次のようなものです。
 ・掲載した時点では取引できたが、契約済みになった後も削除せずに更新を繰り返し、取引できない物件になっていた
 ・当初から契約済みだった物件を新規に掲載していた

つまり、悪意がなくても、更新の遅れでおとり広告になり得ます。ガイドラインは発生原因として、インターネット広告では常に取引できる物件が掲載されていると一般消費者が認識するのが一般的であること、管理能力を超えた数の物件を掲載していること、アルバイト等に任せきりで責任者のチェックを怠っていることなどを挙げています。

そのうえで、ガイドラインは、更新する期間を最長でも2週間とし、その期間内に契約済みと分かった物件は期間の到来前でもすみやかに削除することを徹底する必要があるとしています。


更新日の表示は「見やすい位置」に置きます


「情報公開日(又は直前の更新日)及び次回の更新予定日」について、おとり広告ガイドラインは、表示していないケースや、広告の下部に小さな文字で表示しているなど明瞭性に欠けるケースが多いと指摘しています。


この項目は、広告がいつの時点の情報にもとづくのか、次にいつ更新されるのかを示すもので、ガイドラインは、広告の上部等の見やすい位置に、見やすい大きさの文字で明瞭に記載する必要があるとしています。

自社サイトの物件ページを設計するときは、更新日と次回更新予定日を物件名や価格の近くに置くレイアウトにしておくと、この指摘に沿った形になります。物件一覧のページでも、各物件のカードに更新日を表示しておくと、閲覧する側が情報の新しさを判断しやすくなります。あわせて、管理画面で成約済みの物件をすぐに非公開にできるか、次回更新予定日を過ぎた物件を一覧で確認できるかも、制作の段階で決めておきたい点です。


監修者からのポイント

自社サイトの物件ページは、ポータルサイトより更新が後回しになりやすい場所です。掲載を始める前に、誰がいつ更新するかを決めておくことが、おとり広告を防ぐ近道になります。

エクシードでは、不動産会社のホームページ制作をご支援しています。物件の種別に合わせた入力項目の設計や、更新日の見せ方、成約済み物件を非公開にしやすい管理画面の構成まで含めてご提案します。自社サイトでの物件掲載を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

営業時間: 10:00~19:00

徒歩所要時間、写真、特定の用語にも決まりがあります

表示規約と施行規則には、物件ページの書き方に関わる細かな基準があります。ホームページでよく使う項目を挙げます。

徒歩所要時間
施行規則第9条では、徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは1分として算出するとしています。2022年の改正では、最寄駅等から物件までではなく、物件から最寄駅等までの徒歩所要時間を表示することに変わり、マンションやアパートでは建物の出入口を起点とすることが明文化されました。分譲物件で販売戸数(区画数)が2以上の場合は、最も近い住戸(区画)からの所要時間に加えて、最も遠い住戸(区画)からの所要時間も表示することとされています。

写真・動画
施行規則第9条では、宅地や建物の写真や動画は、取引するものを表示することとしています。建築工事の完了前などで取引する建物の写真を使えない場合は、施工者が過去に施工した建物で、一定の条件に合うものに限り他の建物の写真を使えますが、その場合は他の建物である旨などを明示する必要があります。

「新築」などの用語
表示規約第18条では、「新築」は建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいうなど、用語の意味が定められています。また、「最高」「格安」「完全」「日本一」「特選」「完売」などの用語は、表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に持っている場合を除き使用してはならず、「最高」など最上級を意味する用語や「格安」など著しく安いという印象を与える用語は、根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用できるとしています。物件のキャッチコピーを考えるときに、特に注意したい部分です。
宅建業法の考え方でも、たとえば「駅まで1kmの好立地」と表示しているが、直線距離では1km程度でも実際の道のりでは4kmある場合は、一般の購入者を誤認させる表示として誇大広告に当たる例が示されています。


取引条件に不利な事項がある物件の表示

表示規約第13条と施行規則第7条では、一般消費者が通常予期できない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項や、取引の相手方に著しく不利な取引条件を「特定事項」として、賃貸住宅を除き、明瞭に表示することを求めています。例として、建築基準法上の道路に2メートル以上接していない土地は「再建築不可」または「建築不可」と明示すること、市街化調整区域の土地は「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示することなどが定められています。

売買物件を扱う会社では、こうした表示を物件ページのどこに入れるかを決めておかないと、長い説明の中に埋もれてしまいがちです。取引条件の欄の近くに、目立つ形で表示できる枠を用意しておくと安心です。


工事完了前の物件は、広告できる時期が決まっています


宅建業法第33条は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前は、開発許可や建築確認など、法令にもとづく許可等の処分があった後でなければ、その宅地または建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならないとしています。表示規約第5条にも同じ趣旨の規定があります。

新築分譲や建築条件付き土地を扱う会社では、「近日公開」「販売予定」といった形で、確認前の物件を先に紹介したくなる場面があります。自社サイトでも、建築確認等の処分の前には物件の内容や取引条件を掲載しない運用にしておく必要があります。なお、表示規約には、価格が確定していない分譲物件などについて一定の事項を示して行う「予告広告」の特例もありますが、これは広告開始時期の制限を満たしたうえで使う仕組みです。


取引態様の明示


宅建業法第34条は、宅地・建物の売買、交換、貸借に関する広告をするときは、自ら当事者となるのか、代理なのか、媒介なのかの別(取引態様の別)を明示しなければならないとしています。表示規約の別表でも、広告主の取引態様は必要な表示事項に含まれています。

自社サイトでは、自社が売主の物件と仲介物件を同じ一覧に並べることが多いため、物件ごとに取引態様を表示する項目を用意しておくことが大切です。


よくある失敗


・ポータルサイトの物件は更新しているが、自社サイトの物件ページは成約後もそのまま残っている
・情報公開日や次回更新予定日を、ページの最下部に小さく表示している
・物件一覧のキャッチコピーに「格安」「掘出物件」などを、根拠の事実を示さずに使っている
・最寄駅からの徒歩分数を、道路距離ではなく地図上の直線距離から計算している
・自社売主の物件と仲介物件を並べているが、取引態様の表示がない
・建築確認前の新築物件を「近日公開予定」として間取りや価格つきで掲載している


まとめ  

不動産会社のホームページに物件を掲載するときに押さえたいポイントは次の通りです。

 ✓自社サイトの物件情報も、表示規約と宅建業法の広告ルールの対象になる

 ✓インターネット広告の必要な表示事項は、物件の種別ごとの別表で確認し、入力項目に組み込む

 ✓おとり広告は、成約済み物件の削除漏れからも起こる。更新は最長でも2週間とし、成約が分かれば期間内でもすみやかに削除する

 ✓情報公開日と次回更新予定日は、見やすい位置に見やすい大きさで表示する

 ✓徒歩所要時間、写真、「新築」「格安」などの用語、特定事項、広告開始時期、取引態様にも決まりがある


物件情報は、問い合わせのきっかけになる一方で、情報が古いと信頼を損ねやすい部分です。更新しやすい仕組みを最初に作っておくことが、自社サイトで物件を扱ううえでの土台になります。

編集部コメント

必要な表示事項は物件の種別で変わるため、別表を手元に置いて入力項目を作ると漏れを減らせます。規約の改正があったときに項目を見直せるよう、テンプレートの版を記録しておいてください。

この記事の編集者

スタジオ15_800px_R

C.Ogawara


大手食品メーカーにて約1年半、商品開発および営業業務に従事。市場ニーズを踏まえた企画提案や顧客対応を通じて、顧客視点を重視した課題解決力を培う。


その後、WEBディレクター兼SEOコンサルタントとして2年目のキャリアを歩み、他の一流コンサルタントの厳しくも愛のある指導のもと日々奮闘中。

ホームぺージ制作やSEO対策業務に携わり、検索流入の改善やコンテンツ制作を支援。 キーワード選定、記事構成の作成、リライトなどを通じて、検索意図に沿ったコンテンツ設計と継続的な改善に取り組んでいる。 毎日キーワード分析を行い、これまで分析したサイト数は業種業界を問わず200サイトを超え、最新トレンドや業界別の特徴や差別化要素を提案できることが最大の強み。

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