ホームページ制作やリニューアルの社内稟議で、決裁者に説明したい目的・費用・効果の整理方法をまとめます。稟議書に書く項目、見積もりの比べ方、効果の示し方、補助金に触れるときの注意、差し戻されやすい理由と準備しておく材料を解説します。

この記事の監修者

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H.Yamashita

新卒で三井住友銀行に入行後、11年間幅広い業種業界・企業規模の法人を担当し、融資業務を中心としたコンサルタント業務に従事。子会社の信託銀行では、専務直属の新規事業企画室にて新規企画推進を担当。

銀行員キャリアのラストは本店営業部にて従事し、不動産・建設業界の上場企業を担当。


その後、WEBマーケティングに強みを有するスタートアップ企業に転職し、企業のあらゆるお悩みや課題を解決し、貢献したいという想いからコンサルタントとして独立、起業。

セールスライティング、WEBマーケティング、SEO、MEO、SNS、広報、WEBサイト制作など、財務や経営管理以外にも幅広い実績を有するオールラウンドな経歴を持つため、一気通貫であらゆるお悩みや課題の解決に貢献できる。

二人三脚スタイルの伴走型支援で当事者意識を持って高い熱量でサポートすることが強みであり特徴。クライアント数は140社超える。


稟議が通らないのは、内容より「判断材料」が足りないから

ホームページの制作やリニューアルを担当することになり、見積もりも取ったのに、社内の稟議でなかなか話が進まない。担当者からよく聞く悩みです。

決裁者がすぐに承認しないのは、ホームページが不要だと考えているからとは限りません。多くの場合、「何のために」「いくらで」「何が変わるのか」「うまくいかなかったらどうするのか」を判断する材料がそろっていないことが原因です。

この記事では、決裁者に説明したい内容を、目的、費用、効果、リスクの4つに分けて整理します。予算の規模ごとに何から始めるかや、補助金の制度の詳細は別の記事で扱っているため、ここでは社内で説明し、承認を得るための準備に絞って説明します。

稟議書に書く項目の全体像

会社によって稟議書の書式は異なりますが、ホームページ制作の稟議で決裁者が確認したい内容は、おおむね次のとおりです。
1.目的:なぜ今、ホームページを作る、または作り直すのか
2.現状の課題:今のホームページや今の集客の方法で、何が困っているのか
3,実施内容:どの範囲を、どの制作会社に、いつまでに依頼するのか
4,費用:初期費用と、公開後に続く費用の合計 期待する効果と、その確かめ方
5.リスクと対応:うまくいかなかった場合や、社内の負担
6.比較した選択肢:他の制作会社や、作らない場合との比較

書式に項目がない場合でも、添付資料としてこの流れで1〜2枚にまとめておくと、決裁者が短い時間で判断しやすくなります。

目的は「ホームページで何を変えたいか」で書く

目的の欄に「会社の顔として古くなったため」「スマートフォンに対応するため」と書くことがあります。どちらも間違いではありませんが、決裁者からすると、それによって会社の何が良くなるのかが見えにくい書き方です。

目的は、事業の課題とつなげて書きます。
 ・問い合わせの多くが電話で、営業時間外の相談を受けられていない
 ・採用の応募者から「会社の情報が少ない」と言われることがある
 ・取引先から、会社案内の資料を毎回送ってほしいと頼まれている
 ・新しいサービスを始めたが、ホームページに載っていない

このように、現場で起きていることを具体的に書くと、ホームページで解決したいことが伝わります。数字で示せるものがあれば、今の問い合わせの件数や、採用の応募の数など、社内の実績を添えます。ここで他社の事例や、一般的な相場の数字を借りてくる必要はありません。自社の数字のほうが、決裁者にとって判断しやすい材料になります。

費用は「初期費用」と「続く費用」を分けて示す

費用の説明で差し戻されやすいのが、公開後にかかる費用が抜けているケースです。ホームページは公開して終わりではなく、次のような費用が続きます。
 ・サーバーとドメインの費用
 ・保守の費用(更新作業、セキュリティ対策、不具合の対応など)
 ・記事や写真を追加するための制作費や、社内の作業時間
 ・広告を出す場合は、その広告費と運用の費用

初期費用だけで承認を得ると、公開後に追加の稟議が必要になり、「最初の説明と違う」と受け取られかねません。少なくとも数年分の費用の合計を示しておくと、決裁者は全体像をつかめます。

見積もりを複数の会社から取った場合は、金額だけでなく、含まれる作業の範囲をそろえて比べます。一方にはページの原稿の作成が含まれ、もう一方には含まれていない、ということはよくあります。範囲をそろえずに金額だけを並べると、安い見積もりを選んだ後に追加の費用が発生することがあります。

経理上の扱い(費用として処理するか、資産として計上するか)は、制作の内容によって変わることがあります。決裁者から聞かれたときに答えられるよう、顧問税理士や経理の担当者に事前に確認しておくと安心です。

効果は「約束」ではなく「確かめ方」を示す

決裁者から「それでどれくらい問い合わせが増えるのか」と聞かれることがあります。ここで具体的な増加の見込みを約束してしまうと、結果が届かなかったときに説明が難しくなります。

ホームページの成果は、業種や地域、競合の状況、公開後の運用によって大きく変わります。稟議の段階では、効果を約束するより、どう確かめるかを示すほうが誠実で、決裁者も判断しやすくなります。

・何を数えるか:問い合わせの件数、資料請求の数、採用の応募の数など
・どう数えるか:アクセス解析の設定や、問い合わせの受付の記録
・いつ確認するか:公開の3か月後、半年後など
・確認した結果、どうするか:改善の打ち手を決める、運用の体制を見直す

「公開後○か月で、この数字を確認し、結果を報告します」と書いておくと、承認した後の流れまで決裁者に見えるようになります。

監修者からのポイント

稟議の相談を受けたときは、まず決裁者が何を一番気にしているかを伺うようにしています。費用なのか、社内の負担なのかによって、準備する資料が変わります。

エクシードでは、ホームページの制作やリニューアルのご相談の段階から、社内でのご説明に使いやすい見積もりや資料づくりをお手伝いしています。作業範囲の整理や、公開後の費用の見通し、効果の確かめ方まで含めてご提案します。社内稟議の準備に悩まれている方は、お気軽にご相談ください。

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リスクと社内の負担を先に書いておく

決裁者が気にするのは、費用だけではありません。担当者の作業時間や、うまくいかなかったときの影響も判断材料になります。

・社内で用意するもの:原稿、写真、会社の情報、確認の時間
・制作期間中の担当者の負担:打ち合わせの回数や、確認の作業
・公開の時期がずれた場合の影響
・今のホームページのドメインやアカウントを誰が管理しているか

リスクを隠さずに書き、それぞれに対応を添えておくと、「検討が足りない」という理由での差し戻しを減らせます。例えば、原稿の準備が負担になるなら、制作会社に原稿の作成を依頼する範囲を広げる、といった対応です。

補助金に触れるときの注意

ホームページ制作の費用に補助金を使えないか、と決裁者から聞かれることがあります。補助金を前提に稟議を通す場合は、特に注意が必要です。

例えば、中小企業庁は、令和7年度補正予算事業から「IT導入補助金」の名称を「デジタル化・AI導入補助金」に変更したと案内しています。この補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的に、AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援するものです。事務局のサイトでは、IT導入支援事業者やITツールの登録、登録されたITツールの検索の仕組みが案内されています。ホームページの制作がそのまま対象になるとは限らないため、公募要領で対象の範囲を確認する必要があります。

補助金は、制度の名称や対象、公募の時期が年度ごとに変わります。採択されるかどうかも審査で決まります。稟議書では、補助金が使えなかった場合でも実施するのか、補助金が採択された場合に限って実施するのかを分けて書いておくと、判断がぶれません。制度の最新の内容は、所管する省庁や事務局の公式サイトで確認してください。

差し戻されやすい理由と、準備しておく材料

稟議が差し戻されるときによくある理由と、事前に準備しておきたい材料をまとめます。

「今のホームページで何が困っているのか分からない」:問い合わせの記録や、顧客や応募者からの声を添える
「なぜこの制作会社なのか」:比較した会社と、作業範囲をそろえた比較表を添える
「公開後にいくらかかるのか」:数年分の費用の合計を示す
「本当に効果があるのか」:効果の確かめ方と、確認の時期を示す
「担当者が回せるのか」:社内の作業の分担と、制作会社に任せる範囲を示す

決裁者が一人の場合は、稟議書を出す前に口頭で目的だけ先に伝え、疑問を聞いておくのも有効です。出してから差し戻されるより、疑問に答えた状態で出すほうが早く進みます。

よくある失敗

・目的が「古くなったから」だけで、事業の課題とのつながりが書かれていない
・初期費用だけを示し、公開後の費用が後から出てくる
・見積もりの金額だけを比べ、作業の範囲の違いに気付いていない
・効果の見込みを数字で約束してしまい、公開後の説明に困る
・補助金ありきで計画し、使えなかったときの判断が決まっていない

本記事で触れた補助金の情報は、執筆時点で中小企業庁の公表資料で確認した内容です。制度は年度ごとに変わるため、最新の内容は中小企業庁や事務局の公式サイトで確認し、申請の可否は事務局や専門家へご確認ください。

まとめ  

ホームページ制作の社内稟議で押さえたいポイントは次の通りです。


✓目的は「何を変えたいか」を事業の課題とつなげて書き、自社の実績の数字を添える

✓費用は初期費用と公開後に続く費用を分け、数年分の合計を示す

✓効果は約束するのではなく、何を、いつ、どう確かめるかを示す

✓補助金は制度の対象と最新の情報を公式サイトで確認し、使えなかった場合の判断も書いておく


稟議は、決裁者と一緒に計画の穴を見つける場でもあります。聞かれそうな疑問に先回りして答えを用意し、承認までの時間を短くしていきましょう。

編集部コメント

効果の見込みを聞かれると、つい数字で答えたくなるものです。確かめ方と報告の時期を示すほうが、公開後の関係も良くなることが多いと感じています。

この記事の編集者

スタジオ15_800px_R

C.Ogawara

大手食品メーカーにて約1年半、商品開発および営業業務に従事。市場ニーズを踏まえた企画提案や顧客対応を通じて、顧客視点を重視した課題解決力を培う。


その後、WEBディレクター兼SEOコンサルタントとして2年目のキャリアを歩み、他の一流コンサルタントの厳しくも愛のある指導のもと日々奮闘中。

ホームぺージ制作やSEO対策業務に携わり、検索流入の改善やコンテンツ制作を支援。 キーワード選定、記事構成の作成、リライトなどを通じて、検索意図に沿ったコンテンツ設計と継続的な改善に取り組んでいる。 毎日キーワード分析を行い、これまで分析したサイト数は業種業界を問わず200サイトを超え、最新トレンドや業界別の特徴や差別化要素を提案できることが最大の強み。

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